この記事では、どちらが良いとか悪いとかを判断するためのものではなく、柔道が今や日本の柔道から世界のJUDOへ進化しているという素晴らしい事実を伝えたいと思っています。
カナダの柔道場の合言葉は「押忍!」
これが一番驚いたことなのですが、ノバスコシアの柔道場では、「押忍」と言います。
最初聞いた時、すごく驚きました。
押忍というタイミングとしては、日本で言うところの「はい」若しくは「お願いします」のタイミングです。
おそらく、空手の道場と同じ使い方だと思われます。(空手をやらないので詳しいことはわかりませんが。)
なぜ柔道場において、押忍が使われる様になったのかは、全くわかりません。
ノバスコシア州にあるほかの道場でも押忍は頻繁に言うそうなので、州規模で柔道場で押忍が使われているみたいです。
ノバスコシア州だけなのか、カナダの他の州でも使うのかは定かでありません。(知ってる人いたら教えてください)
カナダの柔道の帯の色
これは違う記事でも少し紹介したのですが、カナダでは大人でも色帯を締めます。
また、色帯のそれぞれの級の間にはストライプと呼ばれる帯が存在します。
画像を見せた方がわかりやすいので画像を貼ります。↓(緑とオレンジストライプ)
さらに、この色帯の順序には日本とカナダに少々違いがあります。
講道館(日本):下から白色、水色、黄色、オレンジ色、緑色、紫色、茶色としていますが、
カナダ:下から白色、黄色、オレンジ色、青色、緑色、茶色としています。
カナダの柔道場で見えるの上下関係
これは、柔道場においてだけではありませんが、日本と比べて上下関係がほぼ”無い”と言えると思います。
たぶん、カナダ人から言わせると僕たちにも上下関係はあるぞ!と怒る人もいると思います。
でも話の聞き方や、立ち方一つからしてちょっとレベルが違うんですよね。
日本人の場合、遅い場合でも中学校で部活動などを通して上下関係について学ぶと思います。
たぶんそれもあって、特に中学生、高校生くらいの年齢の子がそれができてないと、私はものすごく違和感を感じる時があります。
日本以外の国では、それが弱気に見えたり、低姿勢過ぎるように相手の目には映る場合もありますが、少なくとも道場では必要な要素なのかな、と思います。
カナダの柔道場の正面の概念は加納師範
日本の道場は、神棚があります。
そこが正面であり、だから上座となり、反対側は下座ですよね。
日本の柔道場では、先輩と組むときは先輩が上座にくるように、自分が下座に立ちます。(少なくとも私はそう教わりましたし、そうしてました。)
一方、カナダではここを正面と呼ぶんだよ、という「壁」は設定していて、そこに嘉納治五郎師範の肖像画を飾ります。
ただ、上座下座の概念がないので、下座が正面となっていることもあります。
例を見せるとこの写真、わかりにくいですが、左上にあるのが正面です。
ここは実はこのすぐ左側は入り口です。(つまり玄関)
日本での神棚への意識は、このご時世宗教的な思想はなく、習慣的に取り入れている家庭も多いと思うので、私が神棚について話すことはおそらくないとは思います。
ちなみにカナダでは、正面とする壁に加納師範の肖像画がある率は結構高めです。
この加納師範の肖像画を見て「宗教ならやらせたくない!」と言う親御さんもいるそうです。
あぁ、たしかに。と思いました。
ノバスコシアはキリスト教をはじめとする(偶像崇拝者)が多めだからかもです。
カナダの柔道稽古は打ち込みよりも投げ込み重視
カナダでは、あまり打ち込みをせず、投げ込みを中心に練習することが多いです。
形や技の原理よりも、勢いや力に依る柔道スタイルです。
オリンピックをはじめとする柔道の世界大会をみてもわかるように、女子選手ですらすごくパワフルな柔道をしますよね。
時代の流れなので仕方ないですが、パワフルな柔道ができない私にとっては、正直組むのが怖い&苦しい稽古が多いです。(汗)
カナダ人はゲガをしない?準備体操と回転運動
日本の道場では、大体は準備運動をして、柔軟をして、そして前転後転などの回転運動を毎回欠かさずやります。
ちょっとびっくりするかもしれませんが、これがスポッと抜けていることが多いです。
それが理由かわかりませんが、体が硬い・体が回転することに慣れていない人が多く、受けとしてやりずらい人が正直ほとんどです。
日本にいた頃は、私はそんなに良い受けではなかったと思うんですが(ゴムみたいとよく言われました)カナダにきてからは、君はすごく良い受けだね、と言われます。
まとめ
人種や文化、宗教が違う者が一つ同じことをするというのは、到底簡単なことではありません。
今回紹介した柔道についても同様です。
私は、カナダの道場でやっていることや信じているものを、柔道は日本のスポーツだからといって無理やり日本のやり方に変える必要は全く無いと思っています。
むしろ違いがあることは、柔道がそれほどインターナショナルなスポーツになったんだという証拠だと思って嬉しく思います。
強い選手に憧れたり、悔しくて泣いたりしている子供達を見ていると、どこの国でやってようが、どんな肌の色であろうが、柔道が好きということは万国共通で、ありきたりなことだけど、とても素敵なことなんだなと、私自身カナダに来て再確認できました。